雪の花びら
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「最初に落ちてくる雪って桜に似てるな…。」
「桜…?」
俺の呟きに彼女は首を傾げる。
そうか…この城の周りに桜を見かけない。
彼女は身体が弱いから遠出も出来ないしな。
「桜貝みたいな色の木に咲く小さな花があるんだ。」
「小さな花…。」
「凄く綺麗なんだよ。俺の故郷にはたくさん咲いてる。」
「いいな…。」
いつもなら見せろと言うのに。
俺の故郷は少し遠い。
自分の体調を知っての事だろう。
本当は見たいくせに…と思うと言わずにはいられない。
「いつか、連れて行くよ。一緒に見よう。」
俺の言葉に彼女は嬉しそうに顔を上げた。
「いいの?」
「うん。」
「わぁーい!約束ね。」
彼女はニコニコと笑った。
だけど。
これは出来ない約束だった…。
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(…頭、いて…。夢…?)
変な夢を見たもんだ。
着物?
昨日の白昼夢といい…時代がおかしい。
はずなのに、どこか懐かしい。