雪の花びら


゛義高゛
変わった名前だった。
だけど…
なんでだろう。
何かが心を叩いた気がした。

「さくらです。義高って変わってるね?」

さくらって時々怖い…。
春野君は突然なさくらの言葉に一瞬固まって…もう一度笑顔を見せた。

「親が日本史とか歴史好きでね…。」

笑顔…というより苦笑という感じ。

「義高なんて居たっけ…?」

普段、講義で首を傾げないさくらが難しい顔をする。
確かに私も聞いた事がない。

義経なら聞いた事あるけど…
将軍にも居なかった気がする。

「普通知らないと思うよ。」

また苦笑。
よく笑う人なんだな…。

「ま、いいだろ。行くぞ。」

そんな二人を見て、話の限がないと思ったのか、暁君はサクっと話を切って、進み出した。

「ちょっと…!!」

慌ててさくらも続く。
春野君と私もそれを見て二人を追いかけた。


この時は気付かなかった。


憂鬱だった気分は何故か晴れて。
不思議と降り始めた雪は優しい色をしていた。


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