雪の花びら
「ごちそうさまでした。」
食事を終え、暁君の家を出ようとした時、幸い雪は止んで星が出ていた。
だけど、外は白い世界。
一瞬、いつものように立ち眩みがしそうだったけど、何とか堪えて歩き出そうとした時、後ろから声がした。
「えと…朝日奈さん?」
聞き覚えのある、慮がちに届いた声の主の方へ振り返ると、そこに居たのはやっぱり春野君だった。
「暗いので送ります。」
そう言って、彼は私に笑顔を向けた。
「や、大丈夫です…。」
「いえ、送ります。」
パッと答えた私に春野君も即答する。
先程、暁君の家の中でもさくらに負けていたし、おっとりしているように見えたのに。
ニコニコしているのに断れないような雰囲気を醸し出ている…。
「だいたいの場所、暁が教えてくれました。行きましょ。」
そう言って彼はサクサクと私の家の方へ歩き出した。