雪の花びら
「白い雪ってなんか寂しいですよね。」
歩きながら不意に春野君は呟いた。
「そう思いません?」
前を見ていた視線を私に向けながら笑顔を見せる。
とても楽しそうなその笑顔。
何故だろう。
嫌いじゃない、けど。
何かがモヤモヤする。
「私、雪は好きじゃないから…。」
「え?」
「あ…。」
(しまった…。)
春野君の驚いた顔。
モヤモヤしていて、思わず本当の事を口走っていた。
さくらや暁君にも話した事なかったのに…。
「雪、どうして嫌いなんですか?」
今度も笑顔…のはずなのに、さっきより優しい感じがするのは気のせいだろうか。
好き嫌いがある子どもを宥めるような、そんな顔をしている。
「雪、見てると…昔から気分が悪くなるの。」
どうしてか、話してもいいような気がして、私は言葉にしていた。
「気分が悪く??」
「医者にも行ったけど、原因も解らなくて…。」
「そうなんですね…。」
私の小さな声も漏らさずに、ふんわり聴く春野君はそれだけ言うとまた視線を前に戻した。
きっと、困ったんだろうな。
こんな話誰にもした事なかったのにな…。