雪の花びら


夢の所為なんだろうか。
起きたら外は大雪だった。
好きな講義の日なのに…こんな大雪の中を歩いて行ける自信は皆無だった。

―♪―♪♪

溜息を付いていると、不意に携帯が鳴る。
画面を見ると知らないアドレスだった。

《春野です。暁にアドレス聴いちゃいました。大雪ですけど…お迎え行きましょうか?》

昨日の話、覚えてたんだろうな。
返信をしようとした瞬間、今度は家のインターフォンが鳴った。

(…まさか。)


「おはようございます。」

玄関に立っていたのは春野君だった。

「来ちゃいました。支度してきて下さい。」

「………。」

開いた口がふさがらないってこういう事を言うんだろうな…。
だいたい何で家に…。

納得の行かないまま、断る事も出来ず、私は支度をして外に出た。

「大雪の中、歩きたくないでしょうから…これ着て、これ被って下さい。」

ドンドンっとかなりゴツイ上着とヘルメットを渡される。
よく見れば、春野君の隣にはバイクがあった。

私の視線に気付いたのか、春野君は笑顔を見せた。

「大丈夫。安全運転しますし、怖くないですよ。」

そう言って、私を乗せて、大学まで走り出した。


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