鳥かごと処女
勢いよく起き上った亮一郎は、辺りの異様さにすぐに気付く。

「なんだよ、ここ・・・」

見渡す限り、木、木、木・・・
どう見ても、先程まで居た蔵の中では無い。
薄暗いものの、かろうじて見えた空は赤く、いつしか夕方になっていたようだ。

「・・・なんなんだよ・・・」

小鳥のさえずりさえ、気味が悪い。
何かに見つめられているような、視線を感じるのは気のせいだと思いたい。

「なんなんだよ!!」

亮一郎は、訳も分からず走り出した。
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