鳥かごと処女
セードルフの部屋に毛布を持ちより、亮一郎は心を決める。
自分の部屋は暖炉を消してしまっていたので、暖かい彼の部屋がありがたかった。


「で、話って?」

「・・・驚かないで、聞いてくれるか?」


深呼吸して、手渡された熱い湯の入ったマグカップを受け取る。
わずかなコーヒーの粉さえ、入っていないただの湯。
それさえも、今の亮一郎の体を温めるには充分だった。
セードルフは亮一郎を見て、力強く頷く。

「ああ。」

「それから、信じて欲しい。」

信じる、とは。なんだろう。

不思議に思いながらも、亮一郎があまりにも真剣なので、セードルフはもう一度頷く。

その答えに安心したように、彼は重たそうな口を開いた。
< 110 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop