鳥かごと処女
平気になっても、戻りたい気持ちがなくなった訳ではない。
だが、帰りたいと思っても、方法は分からない。
それどころか、鳥かごも見つかっていない。
夢に出るあの映像も分からない。

分からない事だらけで、何から考えていいのかそれすら分からない。
さらには、保護してくれた牧師も、帰ってこない。

八方塞がりだ。

このまま年をこえるのだろうか。
両親や祖母は、心配しているのか。

早く帰りたい。
しかし、それは目の前の友人との別れでもある。

不思議な感情に揺れた心を映すように、残り少ないスープには、眉間を寄せた自分がいた。

こんなことではいけない。

また新しい話題を探そうと顔を上げたとき。
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