鳥かごと処女
古めかしい内装だが、どこもかしこも美しく、手入れが行き届いている。
素人目にも分かるほどの値打ちの装飾や、所々に飾られた趣味の良い絵画。
エルジェーベトの好みなのか、乙女の肖像画が多い。

城を通り抜けて裏手に案内されると、真っ暗で寒い外に逆戻りとなった。

そこには男性の従者が一人と、侍女が数名、牧師が訪れるのを待っていた。

「遠いところおいでくださいまして。エルジェーベト様の従者で、フィツコと申します。」

小太りの中年男はフィツコと名乗り、この城の中ではその存在が浮きそうなほど、愛想のいい笑顔で出迎えてくれた。

早速ですがと前置きして、フィツコは少しだけ悲しそうな素振りを見せながら、使者にかわって牧師を案内する。

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