鳥かごと処女
いつしか眠りに落ちていた亮一郎の目を覚ましたのは、母の声ではなく、動物の遠吠え。
しかも、近い。
慌てて起きた亮一郎は、命の危険を本能的に感じ取って走り出した。
もう足に力が入らない。
だが、走るしかない。
平和な日本で暮らしていた彼にも、まだ危険を感じ取る本能は残っていたらしい。
遠吠えは、近付く。
声を出したかったが、亮一郎のなけなしの冷静な部分が、必死でそれを抑え込んでいた。
(ダメだ。今ここで声を出したら、居場所を知らせてるようなもんだ・・・!)
とにかく走るしかない。
そうこうしている間に、靴を片方落とした。
かまっている余裕はなく、走りにくいからもう片方も脱いだ。
高いスニーカーだったが、仕方が無い。
そのうち、遠吠えは遠くなった。
「あ・・・」
森を、抜けた。
しかも、近い。
慌てて起きた亮一郎は、命の危険を本能的に感じ取って走り出した。
もう足に力が入らない。
だが、走るしかない。
平和な日本で暮らしていた彼にも、まだ危険を感じ取る本能は残っていたらしい。
遠吠えは、近付く。
声を出したかったが、亮一郎のなけなしの冷静な部分が、必死でそれを抑え込んでいた。
(ダメだ。今ここで声を出したら、居場所を知らせてるようなもんだ・・・!)
とにかく走るしかない。
そうこうしている間に、靴を片方落とした。
かまっている余裕はなく、走りにくいからもう片方も脱いだ。
高いスニーカーだったが、仕方が無い。
そのうち、遠吠えは遠くなった。
「あ・・・」
森を、抜けた。