鳥かごと処女
最後に行き着いたのは、教会らしき建物。
ドアをたたく元気さえ、もう無い。

空腹と寒さと疲れで、亮一郎は座りこむ。
何か打開策を考えたくても、何も考えられないまま。
亮一郎は眠ることも出来ず、一晩その場で明かした。

石造りの教会は、冷たい。
ぼんやりと眺めるのは、朝日。
手足の感覚は無く、耳は千切れそうに痛い。
それだけが今生きているという事を、実感させてくれた。

(俺・・・死ぬのかな・・・)

こんなわけも分からない、見知らぬ場所で。
自分の身に何が起こったのかさえ、知らないままに。

(しにたく、ない。)

強く思っても、意識がぼんやりとしてくる。
< 16 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop