鳥かごと処女
この細い少年の肩に、一体どんなものを背負えと言うのか。
神は気まぐれだが、無駄な事はしないはずだ。

『君が教会前で倒れていた事も、そのお陰で助かった事も、全ては神が導いた結果かもしれない。』

神など信じていない亮一郎にとって、気休めにしかならない。
それでも牧師が懸命に自分を励ましてくれているのが、嬉しかった。

『せっかく助かった命だ。無駄にしてはいけない。』

重い言葉に、深く頷く。
『使命を果たして帰れる日まで、ここに居るといい。もちろん、働いてもらうことにはなるが・・・』
『俺、働きます。働かせて下さい。』
ここを出たら、生きていけないだろう。
それぐらい分かる。
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