鳥かごと処女
今日も少しだけ、パンをもらえた。
そのパンを大事に袋に入れて、教会のドアをくぐる。
硬いパンだが、あの異国人へ渡そう。
少しでも元気になってくれるといいのだが、目は覚めただろうか?

「エメシェ。」
「牧師様!」

迎えてくれた牧師に駆け寄り、頭を下げる。
「あの異国の方は、目が覚めましたか?」
挨拶もそこそこに彼の安否を聞けば、牧師は笑顔で答えてくれた。

「ああ。少し混乱していたようだが、ラテン語を話せる教養豊かな少年だったよ。」
「まぁ、ラテン語を?」

驚いた。
ラテン語を解すのは、貴族や牧師だけかと思っていたのに。
「今日一日は部屋で安静にしていて貰っているが、会って行くかい?」
はい、ぜひと、エメシェは牧師の後について行った。
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