鳥かごと処女
頭を上げれば、好奇心旺盛な瞳がこちらを覗いている。

「君は、ロマ?それとも本当に東洋人?」
「ロマ?」

聞きなれない言葉だ。

ロマとは、何だろうか。会話の流れから、人種のようだが。
牧師に問いかけるような眼差しを送れば、すぐにセードルフの言葉を説明してくれた。

『ロマ、とは・・・そうだな、ジプシーと言えば、分かるだろうか?』
『ジプシーなら、分かります。』

ジプシーにあまり良いイメージは無いが、不思議と2人からは嫌悪感が無い。
祖父から聞いていたジプシーは、ローマのコロッセオの前で物乞いをしたり、観光地でスリを働いたりと、そんなイメージしかなかった。

『マジャールでは、ロマが鍛冶工などとして、活躍しているんだ。』

当たり前のように自由を認められていると、牧師は語った。
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