鳥かごと処女
それならば、と。
セードルフは納得したように目線を合わせてくる。

「大丈夫だ、お前、生きてるよ。」

力強く笑ってくれると、少しだけ肩の力が抜けた。
「教会の前で倒れてたのだって、神の導きだろうさ。だから助かって、今ここで俺と農作業してるんだ。」
茶目っけたっぷりに言われ、不安が消えさる事は無かったが、震えは止まる。

心底優しいセードルフをだましているような気分になるも、自分が未来から来た事など、言えるはずもない。

伝えて、信じてもらえたら。
それほど心が軽くなる事は無いのに。
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