鳥かごと処女
その夜、亮一郎はセードルフと共に、教会の資料室へと来ていた。
「それで、地図が見たいんだよな?」
「頼むよ。」
背の高いセードルフは笑って、上の方の棚から大きな地図を出してくれた。

寒かったからそれを抱えて、2人は亮一郎の部屋へと戻る。
暖炉の燃える部屋で、大きな一枚の地図を囲み、亮一郎はセードルフに質問をした。

「マジャールって、どこの位置にあるんだ?」

そんなことも知らずに旅をしていたのかと、セードルフは驚く。
行き倒れていた事といい、亮一郎は割と計画なしだ。
そんな事を思うと、普段真面目な彼が、途端に間抜けに見えた。
「地図で言うと、ここかな?」
笑いながらセードルフが指を差した所には、こう書かれていた。
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