鳥かごと処女
目が覚めれば、石造りの壁が目に入る。
暖炉の火は消えているのに、汗をかいて寒い。

亮一郎は震える手を何とか動かし、ベッドから降りて暖炉に火を灯した。

嫌な夢だ。

もう二度と見たくないと思っていたのに。
夢の中で祖父の声が聞けたのは嬉しかったが、あのエリザベートという貴婦人には、出会いたくない。
< 85 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop