鳥かごと処女
ベッドにもう一度戻り、毛布にくるまる。
寒さだけでない体の震えは、まだ止まってくれなかった。

(エリザベート・・・あれが、鳥かごの持ち主・・・)

本当に、美しかった。
おぞましい程に。

彼女の豪奢な部屋で見た、“鉄の処女”。
2m程の木製、もしくは鉄製の人形で、中は空洞。
人形の前面は観音開きに開くようになっており、中に人が入れる。
ドアの内側には無数の針がついていて、ドアを閉めれば、その針が中に居る人間に刺さるようになっていた。

現代に残っているものは、全て18世紀以降の模造品であるし、公的な記述が見つかっていない為、その存在を疑っている研究者は多いが・・・。
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