鳥かごと処女
亮一郎は見比べながら、その絵をじっくり堪能した。
美術の事はよくわからないが、タッチの違いと、とても上手い事だけは分かる。


「すごいな、レヴェンテ。」


素直にそう思った。

優しい、流れるようなタッチ。
線に、レヴェンテの性格が表れているのだろう。

目の前には自分の事のように嬉しそうなエメシェと、照れ臭そうに真っ赤になって笑うレヴェンテ。
羨ましいぐらい、本当に仲の良い姉弟だ。


「そうだ!リョウイチローも描いてもらったらどうだ?」


セードルフが名案を思い付いたと言わんばかりに、亮一郎の肩をたたく。

「それはいいわね!せっかくここで出会えたんだもの。」

こんな、帰りたくて仕方の無い自分なのに、皆は優しい。

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