鳥かごと処女


(俺は、この時代の人間じゃない。)


分かっていても。

この時間を大切にしたいと思う気持ちは、亮一郎の本心だ。


「描かせてもらってもいいですか?」


悩んで何も言わない亮一郎を、心配そうにレヴェンテが覗き込んだ。

「あ・・・ああ、頼むよ。」

寂しさを押し殺して、亮一郎は笑う。
ほっとしたようなレヴェンテの顔が、亮一郎さえも安心させた。


< 98 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop