君が好き
「先輩は何で小山のこと…」
「あぁ、教えてほしい?」
黙って頷いた。
拓哉先輩がまだ中学3年の時、バスケの試合である中学を訪れたそうだ。
その学校はあまり有名ではなかったが、連携プレイでパスを繋ぎ、見事なバスケを繰り広げていた。
そのプレイを支えていたのが、吹奏楽部のマーチングだった。
吹奏楽が奏でるメロディーに合わせてボールが次々にきれいに入っていく。
高らかな演奏のなかで、一際目立つ楽器。
トランペットのファンファーレ。
それが、先輩と小山との出会い。
トランペットの中でも、すごく楽しそうに、嬉しそうに、点が入るたびに見せる笑顔。
そんな小山に惹かれていったそうだ。