【短編】寝ているアイツにキスをした。~柚子side~
「……樹」
樹、好きな子いるんだ……。
胸が締め付けられるみたいに苦しくなった。
「もう……」
なんでこんな時に限って変な場面に遭遇しちゃうんだろう。
……サイアク。
あたしは胸の苦しさに気づかれたくなくて、逃げるようにして渡り廊下から去った。
だけどその後もずっと、樹のあの言葉が頭を離れなかった。
あたしは樹が好き。
大好き。
なのにあたしの恋は、叶うことがないと知ってしまった。
今までずっと片思いしてきた恋は、終わりを告げてしまった。
悲しい。苦しい。辛い。
胸が痛い。締め付けられるみたいに痛い。
ねぇ、どうしよう。
あたしはどうしたらいい??