【短編】寝ているアイツにキスをした。~柚子side~
「…………」
「柚子??」
「……ごめん。今日は用事があるから一人で帰る」
「はっ??あっ、おい!!柚子!!」
あたしは樹から逃げるようにして、教室を飛び出した。
「っ……ダメだ……」
苦しいよ。辛いよ。
すごく泣きたいよ。
「フッ……」
だんだん視界が涙で滲んでいく。
人が通ってても関係ないくらい、涙でぐちゃぐちゃだった。
やり場のない想いだけが交差して、涙に変わっていく。
好きすぎて辛くて、この気持ちをどうしたらいいのかわからなくて。
あたしはただ泣くことしかできなかった。
ねぇ樹、あたし樹がだいすきだよ。
どうしようもないくらいだいすきだよ。