【短編】寝ているアイツにキスをした。~柚子side~



「…………」



「柚子??」



「……ごめん。今日は用事があるから一人で帰る」



「はっ??あっ、おい!!柚子!!」



あたしは樹から逃げるようにして、教室を飛び出した。



「っ……ダメだ……」



苦しいよ。辛いよ。
すごく泣きたいよ。



「フッ……」



だんだん視界が涙で滲んでいく。
人が通ってても関係ないくらい、涙でぐちゃぐちゃだった。



やり場のない想いだけが交差して、涙に変わっていく。
好きすぎて辛くて、この気持ちをどうしたらいいのかわからなくて。



あたしはただ泣くことしかできなかった。
ねぇ樹、あたし樹がだいすきだよ。



どうしようもないくらいだいすきだよ。



< 15 / 24 >

この作品をシェア

pagetop