【短編】寝ているアイツにキスをした。~柚子side~
お願いだからあたしの気持ちに気付いて。
いつまでも待たせないでよ。
樹のバカ。鈍感。
こんなにもそばにいるんだから、ちょっとはあたしの気持ちに気づいてくれたっていいじゃない。
「……もっ、泣くなあたし……」
こんなんで泣くほど弱かったっけ、あたし。
ねぇ、あたしこんなに泣き虫だった??
「樹のバカー……」
もう嫌い。樹なんて知らない。
どうでもいい。
そう思いたいのに、嫌いになんてなれない。
どうでもよくなれない。
好きって気持ちが大きすぎて、あたしにはどうすることもできない。
苦しくて切なくて、でも愛しくて。
あたしはそんなに樹に恋してるんだって気づかされる。