【短編】寝ているアイツにキスをした。~柚子side~
「……お前、なんでそれ」
「たまたま聞いちゃったの!!でも聞くつもりなんかなかった!!」
「……お前」
「だからお願い。好きな人いるなら、もう優しくしないで……」
「……なあ柚子。聞いてくれ」
「イヤ!!なにも聞きたくない」
「いいから聞けよ!!」
樹に怒鳴られてドキッとした。
「……ごめん。でも俺の話聞いてくれ。少しでいいから」
「……わかった」
樹は掴んでいた手を渋々放して、話しはじめた。
「柚子、俺のせいでお前を泣かせたのは事実かもしれない。でもな、俺は泣いてるお前を見たくないんだ。傷付いたお前も見たくない」