【短編】寝ているアイツにキスをした。~柚子side~
制服に着替えると、思い出す。
昨日のあの会話。
そんなからかい混じりの会話でも、あたしには嬉しいんだ。
樹と距離を縮められるし、一緒にいられるから。
そんな短い時間の中であたしは、小さな幸せを感じている。
その時だけは、"彼女"みたいって思ってもらえるから。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
今日も樹に会えることを信じて家を出る。
……今日は樹にカワイイって言ってもらいたくて、化粧を変えたんだ。
いつもより薄めに、ナチュラルにした。
小さな変化にも、樹は気付いてくれるから。
「柚子」
「樹!!おはよう」
「おっす」