廻る、出会いと別れ


「やっぱりだめだった」


苦しそうに顔を歪め、悲しそうに笑う彼女が居た。



また微笑むことしかできなかった。

言葉をかけることができなかった。




「死ぬ前に一緒に過ごせてよかった。ありがとう」

田中さんのご主人が、彼女に聞こえないように言った。







感謝されるのが辛かった。

頑張ったのは田中さん自身。

何もできない自分が悔しかった。

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