first love【完】
「咲希の、信頼や気持ちが俺に
戻るように…そんで、俺が
咲希を見失わないように、
咲希を大好きだっていつでも
伝えられるように、なるから…」
「り、ゅう…りゅぅ…」
俺の名前を呼びながら泣き続けてる咲希。
思わず近づき抱きしめた…
抱き締めずにいられなかったんだ…
咲希は嫌がらずただ、俺に身を預けるようにして、顔をぐしゃぐしゃにして…愛しさが溢れでて腕に力が入ってしまった。
どれくらいそうしてたかな、急に“コンコン”ってノックがあって、「咲希ちゃ~ん、もう、送り出さないと桜井君遅刻よぉ」との声…。
ハッとして二人でそれぞれ時計を見て慌てる。
「あっ、大変…ほんと…」
「咲希っ、とにかく、
噂は完全否定して下田さんにも
もう何にも頼らない、
だから…俺の彼女で、居てくれな?」
早口になるが、伝えるべきことは、すぐに実行したほうがいいとこれまでに学んだ…
「うん、私も、これから
もっともっと、竜に相応しい
彼女になるように、努力する、
だから…傍に…居てね?」
『それっヤバイよ…』
額に軽くキスをして、恥ずかしくて驚く咲希を置いて先に玄関へ。
互いに赤い顔しながら見送ってもらい、学校へと急いだ。