first love【完】
チラリと咲希を見ると、既に一度聞いた話しなのか、結構酷い内容なのに、なんとか耐えて聞いている。
それでも苦しそうに眉をひそめたり、絡む指に力が入ったりしていた。
「咲希さんには今回、一人で行動を
するなと言ってあったんだが、
君の試合を観に行ってしまった…」
そうだ…あのときも見られていたんだろうか…
「犯人にとって、君の存在は
それ以前に分かってたことだろうが…
見せつけられた感じに受け止めた場合…」
「場合…?」
「直ぐに君に攻撃してくる、
その可能性が高まる…」
そう、高橋刑事が言うと隣の咲希は「ふぅっ…ぅぅっ…ぅっ…」また静かに涙を流した。
「咲希、咲希のせいじゃない…
気にしちゃダメだよ…」
咲希の頭を撫でて慰めるくらいしか今の俺には出来なかった。
「この病室には入口に
常に警官が居ます、咲希さんが
退院した場合は、嫌でしょうが…
女性刑事がガードにあたります。
そして、桜井君、
君にも校外では一人つけたい。
校内ではどこでも、トイレでも、
一人には決してならないこと、
これを守って欲しい。」
俺は、既にストーカーが傷害事件を起こしてるなら、なんでもしてきそうで、それに俺に何かあれば、一番苦しむのは咲希で…