first love【完】

“無にしないために”咲希side



『あぁ…終わったのかな…』


やけに白い部屋の中でぼんやりとしながらそう思った。


…*…*…*…*…*…*…


2時間前、事態が急変したんだよね……


警察は人を増やし竜を守ってくれていた。


あの“消しにいく”メッセージから毎日、我が家と桜井家に、犯人からメッセージが届くようになり、“いよいよか”と警察はもちろん、義希や母親、学校でこの事を知ってるみんなはピリピリした緊張感の中で、過ごすことを強いられてた。


メッセージには…


“待ってて”や“俺の天使”、“いよいよだ”など。


私は食欲が落ち、竜に言われながらなんとか食べて、睡眠導入剤を服用して眠る毎日が、あの話し合いから1週間余り…みんなもすでに限界だった…


体育祭がある連休前の木曜、竜はリレーなど出場種目が多く、事前練習のため学校に仲間と残っていた。


私は今回は体調不良で見学となってたから、迎えに来てくれた義希と自宅へ。


駅前通りにさしかかった辺りで女性が兄に声をかけてきた。


「あの~清真の星谷選手、ですよね?」


「えっ…あ、そう、ですけど…」


警戒している兄が私を後ろに下げながらその女性を見ると、いつの間にか増えたのか、目の前には他にも何人もの兄のファンらしき人がいて、口々に「ほんとだったんだぁ」「握手してください♪」など言って迫ってくる。





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