first love【完】
女性達を追い払うことがなかなか出来ずに兄が対応していると、すっと私の横にも一人の背の高い女性が立った。
「妹さんですよね、大変ですね」
と話しかけられ、人垣で少し離れていた兄を視界に入れながらも無視できずに「いえ…」と返事をする。
「危ないですから、少し
下がって待ったらどうですか?」
と言いながら私の腕を掴む女性。
その瞬間、なんとも言えない恐怖感が私を襲い、その手を離そうとしたけど、力が女性とは思えないほど強くて…
そこで“ハッ”としてその女性を見る…女性にしては高い身長、女性にしては低い声…力…
頭の中では“危険!!離れて”と分かっていて、『お兄ちゃん!!助けてっこっち見て!!』と思うのに、体も動かなくて声も出なくて…
きっとほんの数秒…目が合って、次の瞬間女性がニヤリとし目を細めた…
その顔を見て我に返った…
私が今、声をあげて助けを求めなきゃ、一生懸命に守り励まし傍に居てくれた人々と、その日々が、けなされ無になっていく……
「ぃ、いやぁーー‐‐っ!!!!!!」
どうにか腕を払おうと体を、動かせる部分は全てめちゃくちゃに動かし暴れながら「お兄ちゃ~んっ!!!!」と叫んだ。
…*…*…*…*…*…*…
あれから正直、記憶がボンヤリしているけど終わったはず…
明日はみんなに笑顔で会えるよね…そう思いながら眠りについた。