first love【完】
『明日になったら』義希side
「お兄ちゃ~んっ!!!!」
人垣の向こうでチラリと見える咲希が、懸命に抵抗しながら叫んでる!!
「どけよっ!どいてくれっ…」
なぜだかわいてでた女のファンに囲まれ身動きが取れなかった俺は、とにかく大声で叫び、なんとか咲希の元へ行こうと進む。
制服のポケットから言われてたところにかけるため携帯を出しながら、「咲希っ!」とか「警察呼んでくれ!!」とかとにかく騒いだ。
咲希のガードの警官が走って来るのも視界に入り、出せた携帯を操作し「竜斗っ、こっちだ、駅前だっ!!」と言うだけ言って切る。
俺があまりにも騒ぐため、さすがのファンも何事かと輪を広げ、咲希がよく見えるように。
背の高い女性が咲希の腕を掴み引っ張って行こうとしてるから、「そいつっ、ストーカーだっ、妹を連れてくなっ!!」叫びながら手を伸ばし、やっと咲希の反対側の腕を掴み引き寄せる。
大きな人の輪の中心で、咲希を引っ張りあう形になったが、少なくともこれで咲希は簡単には連れ去られないし、犯人も逃げにくいはず…。
そうするうちにパトカーのサイレンや、咲希のガード警官が「警察ですっ、どいてっ、通して下さいっ!!」と近づいてきた。
「咲希ぃーー‐‐!!!!」
そして竜斗の叫び声が聞こえ、そこからはあっという間の出来事だった。