first love【完】
「あ、えっとね、弟の友達のお兄さん」
「え…なんか微妙な距離感…」
真人が義希をそっと見ながら言う。
「その弟君が、うちのと一緒に
来年清真に入ってバスケやるって
話してて、何で光理じゃだめなの?って
聞いたら、兄貴がいて制服とかあるから
なんて、言ってて。だから、ふと
聞いただけだよ。
でね、それだけじゃなくて、
二人とも義希君ファンだって言ってたよ♪」
「あ…そうなんだ、中学もバスケ?」
「うん、そうなの♪」
俺と真人は、なんだかいい感じの二人をみて、目配せする。
『二人にしよう』
「咲希、さっき話してた勉強の、
ちょい、部屋で教えて」
俺は咲希の部屋に行くことにした。
「俺、彼女に会いに行ってくるわ、
そろそろ講義終わるはずだしぃ」
真人は帰ることに。
「えっ?あたし、どうしよう」
「新田さんは、せっかくだし
まだ話していきなよ。
帰りは義希が送るし」
真人が勝手に言う。
「ぁ…あぁ!もちろん送るし
まだいいじゃん、俺まだ話したいし」
『おぉ~ちゃんと攻めますねぇ』
そんな視線を真人とかわし、みんなそれぞれに散った。
俺はそれから咲希の部屋で数学を教えてもらい、夕飯を頂いて、8時過ぎに帰ったが、夕食時も帰りも義希と新田さんには会わなかった。