first love【完】
料理の皿が下げられて、次に持ってこられたものを見て思わず破顔した。
大きめの白い皿の右半分にツリーにみたてられたムースがあり、回りをフルーツで飾ってある。
でも、俺の視線を釘付けにしたのは左半分、小振りなカップケーキがあり、そこには“dearest Ryuuto”と少し歪んだ字で書かれたチョコプレートが乗っかり、すぐ横にバスケットボールと、“saki”の文字がいろんな色のチョコで描かれていた。
「あ、ぁのね…、そ、それね?
えっと…店長さんが、協力…してくれて
何か、手作りのもの、あげたくて…
食べて、くれる?」
じっとお皿をみる俺に、咲希がおどおどと話す。
「ありがとう……
嬉しすぎ、食べるのもったいない…」
“あっ…”と思い付き、女子のようにそのデザートを写真に撮ってからいただきますした。
「うまい…」
カップケーキにはバナナとチョコが入っていて、とても美味しかった。
それから紅茶を出してもらい、お店を後にした。
咲希の家まで手を、指を絡めて繋いで行った。
玄関前まできて、お互いプレゼントを渡してないって気がついて…
あわてて贈りあう。
そのとき、冷えた空から白いものがハラハラと落ちてきていた。
咲希からは誕生日とクリスマスの2つのプレゼント…。
どちらも嬉しかったが、やはりお揃いは嬉しい。