first love【完】
ポッと頬を染めてコクコクと頷きながら「はい、もちろん…」って言ってくれた。
「なら、間に合いそうな朝は
メール入れるから
待っててな?」
チラリと俺を見て、ニコリとしながら「はい、待ってますね」…
『可愛い…』
何をするのも可愛いと思えてしまう自分がおかしかったが、でも、嫌いじゃなかった。
真人が言うように、今は、気持ちに素直になって、彼女との時間を楽しみたかった。
明日からは朝から会えると思うと、足どりも軽かった。
「そうだ、テスト勉強って
進んでる?」
「あ…はぃ…少しずつ」
他愛ないことを、自然な口調で話せるのはまだ俺だけみたいだけど、きっとこの敬語とか
名前呼びとか、ゆっくり俺と星谷さんのペースでいかないとだめかな?、なんて思った。
「ねぇ、俺はさぁ、咲希って…
呼んでも、いいかな?
まだ、だめ?
俺のことはまだ、我慢する…から」
駅前まできて、立ち止まったときに思いきって聞いてみた。
瞳をクルクルとさせながら、どうしようか考えていたようだったが、鞄を持ってない手を握りしめて、一人何度も頷いた後…
「…は、はぃ…どう…ぞ、
呼んで…くだ、さい…」
耳まで赤くしながらそう、答えてくれた。