first love【完】
「ただいま」
「おっ、おかえりぃ、
今日はいつもより遅いな
言えば学校まで迎えにいってやるのに」
「大丈夫だよ。
今日は駅まで送って…あっ…」
靴を脱ぎ、リビングに向かいながら、リビングから顔を出していた兄と話していたが、つい…
「はぁ?誰にっ?何で!?」
“しまった…”と思ったときには、すでに時遅し…肩を掴まれてソファに無理やり座らされて質問タイムだ。
「咲希…正直に話せ…
だ、れ、が、駅まで一緒だった?」
「うぅ…えっと…学校、のひと?」
「何でたどたどしく、
しかも、疑問形なんだよ…
名前は?学年は?」
もう、こうなったらごまかせない。
「えと…同じ学年の…さ、桜井、君…」
「桜井“くん”…やっぱり男…」
「で?」
「か、帰りの時間が…いっ、しょ、で…」
「ふぅ~ん……彼氏…か?」
何も言えずにただ、目を見開き…兄を凝視する私に“はぁ…”とため息をつく兄。
しばらく無言で時間が過ぎていく。
「いつからだ?」
「き、昨日…の夕方、です…」
「あっそ、何してるやつ?」
「あ…部活は…バスケット…」
「マジか…はぁ~
名前、桜井っつったな…」