first love【完】
『誰だ?』義希side
珍しく、咲希が俺よりも帰宅が遅い。
俺は練習でたいていは七時近くになるから、咲希が遅いことなんて、ほんと数えるほど。
心配になり携帯をいじりながら待ってると、「ただいま」と、七時過ぎに帰ってきた。
明るいとはいえ、なんかあってからじゃ遅いんだ。
「迎えに…」と言ったら「駅まで送って……」…はぁ?
“誰だ”
聞いてみたらなんと、咲希の高校では有名なバスケ部の次期エースの名前を言いやがった!!
まぁ、確かにかっこよくバスケもうまい、俺のがどちらも上だけどな。
そんなやつが咲希の彼氏?!
しかも昨日から…
確かに咲希は可愛い。
自覚はなくてまるでわかってないが、世間一般の感覚でいって、トップクラスの可愛さだ。
中学では俺がいたし、今よりさらに静かだったから、コクるやつもいなくて、守ることができた。
高校は、俺がバスケのために男子校にしてしまったから離れたが、知り合いに聞けば良すぎて近より難いらしく、俺はすっかり安心してたんだ。
だが、さっきの咲希は、告られたからとかではなくて、頬を染めたりはにかんだり…明らか、咲希もそいつに気があるんだ。
どんなやつだ?
調べてやる…。