first love【完】
「あり、がとう?」
最後に言った“ありがとう”が何にたいしてなのか、ピンとこなかったようで、首を可愛らしく傾けながら聞いてきた。
「ん、朝、待っててくれたことや
昨日すぐにメールくれてたこと…
仲間を責めなかったこと…
そんな、全てをひっくるめて
ありがとう(^_^)」
「そんな…
でも、ありがとうは、
嬉しい…です、
ありがとうございます…」
「ありがとうに、
ありがとう?
何か変じゃない?」
顔を見合わせ、ハハハッふふっと笑いあう。
咲希は笑顔の後に急に緊張感ある真面目な顔になった。
「桜井君が仲間の方に…
とても…大切に思われて
いるって…わかりました。
私は…怒鳴られたこと、より…
疑われたことが…悲しかったです。
そして、そう、思わせてしまった
自分が…一番い、や…でした…。
夜、返信がなくて…朝もなくて…
桜井君を…怒らせてしまったのだと…
思って…ました…」
そう、少し震える声でいうと…笑顔でこう付け足した。
「誤解がとけ、て…伝えられて……
本当によかった、です」
“ふぅ~”
と深呼吸をしている咲希。
「言葉で…伝えるって
大事…なんだな…」
ポロリ…思わず出ていた。