first love【完】
二人で座って、何となく会話が止まってしまって…
「なぁ、咲希…
昨日、お兄さんに“認めない”って
言われたあと、話した?」
「いいえ、私…泣いてしまって…
結局そのまま、なんです…」
首を横に振りながら沈んだ声で話す。
俺は、今が自分の咲希への想いを伝える時だと思って覚悟を決めて体を咲希の方に向けた。
「…咲希…聞いて…」
真剣な俺を見て咲希も真顔で見つめ返してくる。
「火曜日の、中庭で…咲希の
独り言を勝手に聞いちゃって…
それで、勢いで“いいよ、カレカノね”
とか言って…ごめんな?」
咲希の目が悲しんでるように見えた。
「あ、やっ、勢いっても、
いい加減な気持ちじゃなくて、
えっと……俺…俺ね…」
そこまで言ってひとつ深呼吸して…
「咲希のこと…ほんと…
ずっと前から好きで…
あのときは、マジ…舞い上がって…」
咲希の目は今度は驚きに満ちてるようだった。