first love【完】
「俺…1年の時から…なんだ…
だから、体育館…覗いてるのも、分かってた
誰を見てるのかすごい気になって…
目が時々合ってたよね?」
小さく咲希が頷く。
「そんときはすげぇ嬉しくてさ
……そんなんだったから、
火曜に“いいよ”って言ってから
浮かれすぎてて、大事なこと…
伝えてないの、昨日…分かって…」
もう一度、深呼吸…そして…
「咲希、大好きだ…
俺と、付き合って…くださ、い」
“下さい”と言い終わる前に、咲希の瞳は涙が溢れて頬から顎をつたい、ポタポタとワンピースにシミを作っていく…
でも、泣き顔なのに、笑顔で…とても幸せそうに見えたのは俺の自惚れじゃないと思うんだ。
そして、縦に首をコクン…きっと返事のつもりだ。
でも、声で伝えて欲しくて少し意地悪を。
「ちゃんと、言って…聞きたい…」
そう言われて困った顔をしていたが…
「…は、ぃ…おね、がい…しま…すぅぅ…」
泣き笑いしながら一生懸命いってくれる。
お互いの想いが伝わった瞬間だった。