first love【完】
『はい』竜斗side
『はい』
たった2文字の返事を四時間目の間、ずっと眺めていた。
斜め前のやつが振り返り「顔がきもちわりぃ」と言ってきたが、気にならない。
早く、昼休みにならないかな…。
…*…*…*…*…*…*…
俺に昨日、“初・彼女”ができた。
しかも、大好きな星谷咲希ちゃん。
好きでずっとずっと想い続けてた。
今まで、小学校からずっとバスケットボールばかりで、生活の半分はバスケ、残りは食べることと寝ることだけで、女の子と付き合ったこともなかったのに…。
最初は1年の5月頃、体育館から見える中庭で、ほぼ毎日、花壇の花に水やりをする生徒に気がついた。
6月になり、その子がクラスメイトで星谷さんということ、頭がいいこと、とても大人しくて可愛くて、かなり男子に人気があることも、わかった。
バスケと食事と睡眠で100%だった生活に星谷さんがどんどんと入り込んできた。
7月のある日、外は雨で、見学者も少なく、体育館から花壇がよく見えた。
雨だから水やりはしてないが、傘をさした彼女はやはり花壇まで来て、しゃがみこんで何かしてる。
しばらくすると、傘を地面に置いたまま手を泥だらけにして、1つの花を抱えて渡り廊下の屋根の下に来た。