first love【完】
「あの時は…悪かった、と…
思ってる…ほんとに…
今日は…謝りたかったんだ、それで…
ちゃんと、気持ちを…
気持ちを伝えようって…
でも、………
言う前に、終わったな…
悪かった…」
ようやく、本心を話した後藤は、悔しそうに、でもどこかスッキリした様子で「じゃあ」と体育館に戻っていった。
時計を確認すると休憩が もう終わる。
最後はバタバタな感じだったが、まぁ、カタがついたってことだな。
咲希を見ると、呆然としている。
頑張って自分の気持ちを言ったから疲れてぼ~っとしてるみたいだ。
俺は顔を覗き込み、どうしても言っておきたいことがあり声を出す。
「咲希、これでもう後藤は咲希には
なんもしないと思うから
安心しろ、な。
でさ、今回のことで、俺さ悔しいことが
1つだけあってさ、咲希と約束
したいことあんだ。
午後はあと2試合はあると思うんだ。
で、さ?全勝したら…
咲希と…キス…したい…」
やっぱり嫌なものは嫌で…キスの記憶を上書きしたかったんだ。
真っ赤になり瞳がオドオドしてるけど、見上げてきて…コクン…と頷いた。
『よっしゃぁ~』
心の中で激しくガッツポーズ…
午後が楽しみになった。