first love【完】
『避けてる』咲希side
“初キス”したあとから、竜と距離を感じるのは私の気のせいかなぁ。
ほんの少し、“避けられている”と思うときがある。
そんな不安が、段々とはっきりするような、竜の態度に私は心が痛かった。
…*…*…*…*…*…*…
下校の時に手を繋ぐようになっていたけど、誕生日のことを話した日から繋いでこなくなった。
テスト勉強は一緒に図書館でしたけど、隣でなくて向かい合ってした。
そして、木曜から月曜までの期末テストが終了したその、月曜日…。
竜は久しぶりの部活、テストだけの私は朝に渡せなかったお弁当を持って部室へ。
すると部室前で、1年の時に同じクラスだった下田さんと話をしていた。
そして、私を見た竜が慌ててこちらに来て、お弁当を受けとると「じゃあね」と私が帰るより先に下田さんの待つほうへ走っていった。
その時下田さんが何だか勝ち誇ったような顔で私を見て、私は、奥に仕舞いこんでた“自信のなさ”をまた感じた。
嫌な気分のまま帰宅した私は、夜のメールで少し持ち直した。
“27は午後から空いてるよ、一緒に過ごそう”
でも、明日の同じ頃には心が痛くて苦しくて、何も手につかなくなってしまうんだ。