first love【完】
「傍に…」竜斗side
「すみませんでしたっ!!!」
俺は素早く椅子から立ち上がり、膝に頭がつくくらいにして咲希のお母さんと義希に謝った。
数秒…沈黙が流れたが、お母さんが俺の肩をトントンとして「まず、食べちゃいましょうね」と言ってくれて、ストンと座りまた食べ始めた。
…*…*…*…*…*…*…
リビングのソファに「どうぞ」と言われて座ったが、義希はダイニングの椅子のまま俺を睨み付けていた。
「で、桜井君は何に対して
謝ってくれたのかな?
咲希ちゃんのこと、かしら?」
「はい…咲希さんが倒れたのは
俺のせいだから…だから…
すみませんっ」
「お前は咲希を追い込んで
傷付けた…謝ったって…傷は消えない…」
「義希はほんとにそう思うの?
咲希ちゃんは傷を癒せない?」
優しい顔で俺を見つめて話し始める。
「桜井君…あなたと咲希ちゃんは
お付き合い、してるのかしら?」
「え、あ…はぃ…すみません…
ちゃんと挨拶出来てなくて…
5月の終わり頃から、です…。」
「そう!嬉しいわぁ
こんな格好よくて優しい眼を
してる人が、咲希ちゃんの彼氏で♪」
「はっ…そいつは優しくなんかないさ、
見た目だけの薄っぺらなやつだ…」
義希は完全に俺を受け入れるのを止めて、拒絶をしめす。