大奥物語−総取締役お永の局−
第2幕−お津江の涙−
−大広間−
「医師が言うには、
やはり毒を含まれたような………」
「しかも、
その毒薬がお津江の方様から
出てくるとは………」
上様のもう1人の側室、
お末が釘を打つかのように、
そう言った。
「で、ですから私は何も………」
「しかし………」
そう、
お末が言った瞬間………。
「お静まり下さい………
今は上様の病状が大事で御座います。」
横からそう言ったのは、
大奥総取締役、
月島の局だった。
「し、しかし………」
すると、
月島は一呼吸置くと、
「………お津江の方様を秘部屋へ」
(秘部屋)
何か秘密な事、
大事な事で訪れる部屋。
「月島の局様、
私は無実で御座います!」
お津江は必死に月島に向かって、
そう訴えた。
しかし………。