幸せの選択
数年毎日通った建物を出ると、目の前には知った顔が微笑んで立っていた。



「どうしたの?」

「今日、最後でしょ?引き留められて、気が変わってウチにこなくなったら大変だから、監視にきたの」


「ウチに…って、あなたの会社じゃないでしょ?」


「まぁね。俺まだ武者修行中だからね」

「武者修行って…」


フフフと笑うと、寄りかかっていたガードレールから背を起こして、私のそばへ「よっ!」と飛んできた。


「持つよ。お疲れさまでした」

見た目にも重くない紙袋をヒョイと私の手から取り、ペコリと頭を下げた。


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