幸せの選択
気がつくと、私の家の前まで来ていた。


軽く憎まれ口をたたいて晃樹は帰って行った。本当はお礼に家に招いて、お茶でもいれるべきなんだろうけど、弘之がいる家にあげる訳にはいかない。


どんな言い訳をしようか考える私を余所に、晃樹はあっけなく「おやすみ」と後ろ手をふりながら帰って行った。



その背中を見送りながら、安堵のため息を一つ吐いて部屋へと向かった。





ドアの前まで着くと、灯りがついていた。



「帰ってるんだ」


重たい気持ちがつい、独り言になって出た。
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