幸せの選択
「それで、お前はその期限を迎えたのか?」


しばらく黙って考え込んでいた課長は再び私の前に立ち、私の目を捉えた



「……いえ」

真っ直ぐに射抜かれた視線の前で、嘘や誤魔化しはできなかった




「なら――」

「課長、とりあえず仕事しませんか?私のことでこれ以上時間を割かれても困ります。私達には残業代が無いですから」




「………っ!」





私の契約に超過勤務はない。だから、残業代というもの自体存在しない。

課長の切れ長の目が一瞬細められる。
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