幸せの選択
外に出ると、さっきまで小降りだった雨がすっかりあがっていた。



アスファルトに溜まった雨が蒸発する臭いがフワッと鼻に付いた。
さっきまで頭にあったコーヒーの香りを忘れないように小さく息を吸って歩き始める。







「千秋?」




突然、懐かしい声に名前を呼ばれた。

懐かしいけれど、振り返りたくないその声――




「千秋だろ?」




2度呼ばれて、気のせいではないと分かる。
ギュッと目を瞑ると、あの時の情景が一気にフラッシュバックしてくる。



フルフルと頭を振り、一気に振り返るとそこにいたのは――



やっぱり
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