幸せの選択

「あはっは！千秋スゲーじゃん。やっぱりここに千秋を引っ張ってきて間違いなかったわ」


「佐々木さん………」






『退職金を叩いて始める喫茶店ですから…』



そう言いながら古びたミルを磨いていた佐々木さん……
あれ、嘘だったの？







「まぁ、気に入ってもらえたんだから良かったじゃん？」


がっくりと肩を落とす私に「はい」とコーヒーを渡してくれた晃樹



「ありがとう」


「まぁさ、金持ってのは猜疑心が強いから、そうやって人を試したりするんだよ？それでも千秋がいいって仕事任せてくれたんだから、喜んだ方がいいよ」




まるで、私の心の中がすっかり見えてしまってるような晃樹の言葉。
ズズーっと渡されたコーヒーを啜る




「あ、甘い！」

「そっ。お砂糖たっぷりサービスしました。こんな時には甘いものが１番でしょ？女子は」